ヒマつぶし情報
2021.01.06
「まんが美術館」って知ってますか?【勝手に紹介■秋田のいいとこ教えたい①】
嘘みたいなホントの話
『もしもさぁ~?』
『自分が「まんが美術館」を作るとしたらさぁ~どんなんにする~?』
『私はねー手塚治虫とあだち充と~高橋留美子もラインナップに入れようかな~♪』
そんな『もしも』みたいな話が、実現していること
あなたは知っていますか?
なんと。
それが。
秋田県にあるんです。
『まんが美術館』って??
改めましてどうもこんにちは!!
2020年3月より秋田駅前にある秋田OPAのヴィレヴァンの店長をやらせていただいておりますウエダと申します。
もはやおなじみの方も、はじめましての方もどうぞよろしくお願い致します!
さて。
住めば都と言いますが秋田は絶賛冬に入り
馴れない天候等で軽く災害気分ですが、日々のカルチャーショックも楽しんでおります。
とは言え2020年2月に入ってから突然転勤を言い渡され、縁もゆかりもない秋田。
動揺しなかった、ネガティブにならなかったといえば嘘になります。
当然心配でした、不安でした。
でも。
こんなこともなけりゃ死ぬまで来てなかったかもしれないし、後から「あんなんあったんや~行っとけばよかった~」なんて言ってもすぐ行ける距離じゃない。
なので。
『絶対に後悔なんかしたくない!
余すことなく秋田楽しむで!!!』
そんな気持ちでやってきた秋田。
一番最初に出会った衝撃的なもの。
それがまんが美術館でした。
横手市増田まんが美術館
着任して間もなく、お店のTwitterのフォローリストを見ていて目にとまった「まんが美術館」。
なにこれ???
正式名称は横手市増田まんが美術館と言います。
さて「まんが美術館」と聞いてあなたはどんな感じを想像しますか?
・古い漫画がいっぱいある
・何かしらの展示をやっている
まぁこんなところでしょうか?
私も名前だけ聞いただけの時はそんな感じかなと思っていました。
めっちゃ失礼だけど秋田だし、秋田の中でもアクセスが決していいわけではないし。
正直に言います、ナメてました。(またかよ)
結局いつもそう、秋田は想像を大幅に超えてくる。
いやむしろ想像の範疇外のところにいる。
恐ろしく高いポテンシャルを秘めた国なのです。
そんなまんが美術館のスペックをご紹介します。
・日本で、はじめのまんが美術館
・原画収蔵数は40万枚以上(余裕で日本一)
・まんが25,000冊が読み放題(家のように寝転んで読めるスペースもある)
・ワークショップ(ペン入れ体験とか)
・企画展示
・常設展示(この内容やばい)
・カフェ
・ミュージアムショップ
どうですか。この充実っぷり。
中でも、マンガになる前の原画原稿が貯蔵されてるの、すごくないですか。
まんがの原画と浮世絵
昔々、日本では浮世絵に価値がないと言われていたころ、割れ物などの包み紙に使われていたそうで、そのまま荷物と一緒に海外に流出しまくって海外の方は「ナニコレ、スゲージャン?」とテンアゲですごく欲しがった、そこから価値が出たという感じの話を聞いたのですが、まんがの原画にも似たような事があったりするようで。
作者様の考えもそれぞれあって、
「漫画は本になって印刷されて売れてから価値が出るから原画はそんなに大事じゃない」
という方もいれば、
「いや、命を削って作ったもので、とても大事なもの守って、残していくべきもの」と考える方もいる。
今や世界に誇れるクールジャパン、まんがやアニメは日本が誇る文化になっている中、昔みたいに流出させちゃだめだ、然るべき方法で貯蔵していこう!と声をあげたのが「まんが美術館」。
中でも矢口 高雄、高橋 よしひろ、小島 剛夕、能條 純一、土山 しげる、東村 アキコ
倉田 よしみ、さいとう・たかを、浦沢 直樹、やくみつる
この10名の先生方の原画はめっちゃんこ大規模に収蔵されています。
矢口高雄先生の全原画だけでも45000点。
さて、そんな気が遠くなるような数をどうやって保存しているのか。
横手市増田は『蔵のまち』と言われている国の重要伝統的建造物群保存地区。
館内に「蔵」と呼ばれる貯蔵室があり超絶厳重に保存されていて、1枚1枚スキャンして劣化しにくい紙にはさんで袋に入れて引き出しにしまっていて、もちろん24時間温度管理もされている。
その作業している所とかがガラス越しですが見れます。
そしてその貯蔵室には大きなモニターがあり、タッチスクリーンで見たい原画が見れるというマンガ好きにはたまらないシステムがあるとのこと。(現在はご時世で休止中)
まんが美術館の蔵は「現代の形の蔵」って感じで粋やわぁ。
モニターでは私もまだ見たことないので早く見たいと思っています。
冒頭にあった「私がまんが美術館をつくるなら」
一度開いてみていただきたいのがこちら(公式HPです)
↓
手塚治虫(複製原画)、赤塚不二夫、高橋留美子、モンキー・パンチ
江川達也、さくらももこ、藤子不二雄Ⓐ、松本零士
美内すずえ、あだち充、石ノ森章太郎・・・
夢みたいなラインナップ過ぎて、にわかに信じがたい。
嘘みたいな超絶BIGネームが現実に並んでいます。
スマホに穴が開くんじゃないかと思うほどホームページを見ていたのですが
『・・・え、ホンマにホンマなん?』と疑いたくもなります凄すぎて。
これは自分の目で確かめる他ない
こんな美術館が実際に存在しているならホンマにやばい。
とある好きな漫画家さんのまんがにPOPを付けて売りたいと思って入社して、それなりにまんがの知識もある、まんが好きを自負している私が(大げさ)そんな場所のことを知らないなんて!!!!
今までなにボーっと生きてたんだ!!
もう私は次の休日、横手に向かっていました。
秋田駅から電車とバスで乗り継ぎ合わせて約二時間半くらい。自宅からだと三時間コース。
それでも向かわせる圧倒的な興味。
探求心の塊、それが秋田での私である。
全く知らない場所での長距離移動かつ一度間違えばアウト、行けない帰れないの緊張感。
『えー、なんもないけどあってんのかなホンマに・・・』とすら思い始めたところに
いきなり出てきた。
まず『着いた・・・!!!』って達成感が凄かった。
そして外観がかっこいい。
この日は『ヒカルの碁』『DEATH NOTE』『バクマン。』の小畑健先生の画業30周年記念展やってました。
いや、サラッと言ったけど。すごいな。
中に入ってみると
まず。
特別展示以外無料だそうです。
先ほどつづった先生方の原画見るのも、寝転んで読み放題の25000冊のまんがも。
いや、・・・なんでなん?
常軌を逸しているにも程がある。
(なんでこれほどのものを無料で・・・?逆にお金払いたいよ私は・・・!!)
と思ったので年間パスポートを買いました。
それでも大人3,000円です。
安すぎる。
中に入るとまず正面にでっかい壁一面に色んな作品のでっかいウォールがあって圧倒。
(色々すごいんだけど写真撮っていいかわからなかったので館内の写真はありません)
公式HPでご覧ください。
館内随所に施された装飾や細工がいちいちグッときて涙がこぼれそうになる。
このあふれてくる気持ちは何なんだろうと思いながら小畑先生の展示。
これもまた尋常じゃない点数で、ここは都内の展示会か?と錯覚するほど。
(こんな沢山運んでくるのも準備するのも大変だろうなぁ。)
(てかこんなん秋田で見れるのすごいな。小畑先生すごいなぁ。)
(秋田のみんなちゃんと知ってる?とんでもなくすごい事やでこれは!!)
とか思いながら見てたらあっという間に時間がたっていて着いたの14時前とかだったので
常設展全然見る時間ない(営業時間は10:00~18:00)。
これは完全なるリベンジの確定やな。。。と思いながら初回は泣く泣く帰りました。
②回目は【BEASTARS(ビースターズ)展】
前回学んだ。横手駅からまんが美術館まで一番朝早いバスにあわせて超早く家出る。
いや。
泊まりで行けばいいんだ!!!
という事で②回目は横手に一泊二日で行きました。
(初日にミュシャ展も近くで開催してたので併せて行きました)
ほぼ開館時間くらいに着いて、まずは特別展。
これまたとんでもない量の原画と原稿の数。
紙から命が溢れていた。
ビースターズの世界に入りすぎて気が付けば二時間以上経過していた。
お腹すいたし館内にあるコラボカフェへ。
ビースターズの中で「水曜日の卵サンドがめちゃうまい」って話があるんですが。
これこれー!!わかってんなー!って思ってて食べたかったのでいただきました。
秋田にはコラボカフェみたいなものが全然来ないので嬉しかった。
そして常設展。これが一番わかりやすく凄い。
各作家さん一枚絵が螺旋階段にそって展示されていて、上った先に大きい作品の展示がある。
全作品、誰の何かは言わないけど、こんなん本物肉眼で拝めることってあるんや・・・
しかも常設で・・・とんでもないことですホント。
全部見終わって時計を見たら、閉館近い時間で慌てて帰りました。
ミスったらマジで帰るすべがないので。苦笑
何でこんな凄いの?
家に帰る電車の中で思った。(以下関西弁えぐいです)
何なんあそこ。なんであんなすごい人の原画飾れるんやろ?しかも常設やで?
蔵の貯蔵の原画の作家さんのラインナップもえぐいやん。
私の大大大好きな東村アキコ先生のもあるってどうなってんの?
てかあのラインナップに東村アキコ先生入ってるの違和感ある、なんでなんやろ?嬉しいけど。
ほんで特別展のボリューム何よあれ!凄すぎ、原画もカラー原稿も表紙絵も全部あるやん。
とにかくどうなってんのあそこは!!!
というわけで調べました。
色々あるんですが私が一番グッと来たところを一つ。
(気になってくれた人はググったら色んな記事出てきますので見てください)
先日亡くなられた矢口高雄先生の出身地が横手市増田で。
みんなが知っている『釣りキチ三平』の美しい風景はここなんだ。
増田に矢口高雄記念館を、という話もあったそうですが、矢口先生に持ち掛けたら
「僕の記念館にするよりも、いろんな漫画家の本物の原画を見せたい」という事でまんが美術館になったそう。
矢口先生を信頼し、尊敬する作家さんや、思いに賛同した作家さんの作品が集まっているんだなぁ。
涙が出てくる原因は何なのだろうか
今こうして文章を書くまでに何回も訪れている「まんが美術館」。
何度行っても涙が込み上げてきて、グッとくる。実際泣いてる。泣きながら見てる。
この状況は、この気持ちは一体何だろう。考えてもわからない。
とにかく言えることは「まんが美術館」大好きすぎる。
というわけで、月一で出演しているラジオ番組『タマリバ』へ。
まんが美術館の特集を持ち掛けてみた。
↓(詳しい話はコチラで見てください)↓
https://twitter.com/tamariba10/status/1317439149402542081
こちらの放送にあたりまたお伺いして、館長さんからも色々お話を聞かせていただいてわかったことがある。
何で行くだけでこんなに泣きそうになるのか。
涙が込み上げてくるのか。グッとくるのか。
私なりの答え。
まんが美術館には沢山の漫画家の【命のかけら】が宿ってる。
精神すり減らして寝る間も惜しんで、
考えては描いて、考えては描いて。
没になったネーム、世に出なかった作品。
すべてが宿った原画には作家さんの命が吹き込まれていると思う。
それらに触れて、放たれている命に触れて自然と涙が出るんだなと。
あくまで私なりの解釈ですが。そう思いました。
あと、もう一つ。
これはバスケットボールを見に行っても思う事なんですが、秋田特有の「ナチュラルなおもてなしの精神」をすごく感じる。
折角来てくれた人には楽しんで帰ってもらいたい、そんな気持ちが
まんが美術館側からも、展示している作家さんからも溢れている気がした。
ミュージアムショップでも「マジでここでしかこの画集かえないの!?」みたいな信頼関係が垣間見えたり、土地ならではの物がお土産として売っていたり。
一生忘れないであろう体験ができる場所だなと思います。
矢口高雄画業50周年記念展
そんな不思議な力を放つまんが美術館。
現在は矢口高雄先生の画業50周年記念展が開催されています。
生まれ育った増田で開催されているというのが素晴らしい。
先生はこの記念展に足を運ぶことなく亡くなられましたが、最後の最後まで行きたいと願っていらっしゃったそうです。
そして今回の記念展は亡くなられたからやってるんじゃない。
2020/10/10からやっています。
当店も企画展ポスターの掲示やチラシ配布など微力ながら応援させていただいております。
矢口高雄展、始まってすぐ行ってきましたが、素晴らしかったです。涙かこぼれて何度も天を仰ぎました。
美しい秋田の風景や、変わっていくもの、変わらないもの。忘れていた古郷や、深い雪の暮らし。
状況は違えど、みんな誰しもあるであろう幼少期の思い出がよみがえってくる、そんな空間です。
2021/1/11までやっているので(ご時世的に難しいかと思いますが)
是非たくさんの方に見て欲しい気持ちです。
最後に
今の世の中、こんなに情報は溢れているのに
住んでみないと見えてこないものもあるんだな、と思う日々の中で、秋田の人って「秋田は何にもないから」ってめっちゃ言うんですよ。
ありまくるのに!!!
実際に住んでみて、「楽しみたい」という気持ちで外の者から見てみると、面白いものや全く知らない文化、見たことないものや
想像の斜め上を行くもの、色々ありすぎて毎日楽しい。
きっとそんな非日常が秋田の人にとっては日常なんだろうな。
何もないとか言いながら私がテンション上がって早口で、どこ行ったあそこでアレ食べたとかいう話をみんな嬉しそうに聞いてくれる。
なので私にできる事は「聞いてーーー!こんなんあってん!!!」と、声にして記事にして騒ぐことだと思っています。笑
それによって県外の人に知ってもらって体験しに来てもらったり、秋田の人が「名前だけ知ってるけど」って事を改めて知ってくれたり、そんなきっかけになれればとっても幸せです。

店舗店長の顔も持ちながら、商品プロデュースやコラボ商品制作
イベント開催など今までにないものを作り出す0→1バイヤー。
全国転勤族。関西弁以外話せない。
現在は秋田OPA店に所属しております。
月1レギュラーでラジオ出演中
ABSラジオ「タマリバ」
秋田以外の方も見れます聴けます
詳しくは↓
@tamariba10(Twitter)